Letter

進化:鳥類の基本的な羽ばたきから得られる飛翔の進化に関する新しい見方

Nature 451, 7181 doi: 10.1038/nature06517

鳥類の飛翔の進化は、いまだに続く生物学上の主要な論争の1つであり、化石形態を飛翔の樹上性起源あるいは走行性起源のどちらを示す証拠とみるかという機能的解釈については、長らく論争が繰り広げられてきた。飛翔の進化に取り組むのに必要な方法の1つとして「羽ばたき」研究の重要性が繰り返し言われてきたにもかかわらず、実験進化学の面から羽ばたきの動力学的性質を調べた実験データは存在しない。今回我々は、地上性鳥類の若鳥の成長の間にみられる、原始的な移動運動様式(降下飛行と傾斜面を羽ばたきながら走り上がる運動)から水平飛行までの羽ばたきの運動学的性質の比較を初めて報告する(図1)。得られた結果は、これまでの定説とも他の研究による推論とも相入れない。地上性鳥類は、重力方向に対して20 °未満の狭い範囲に限られる羽ばたきを孵化後間もなく開始し、これは成鳥になっても継続する。この羽ばたきによって、空力学的な力が水平面に対して約40 °上方に向けられ、180 °の範囲での進行が可能になる。我々はこれらの結果に基づき、鳥類飛翔の進化に至る漸進的な適応段階は個体発生上の形態にみられる移行段階に行動面でも形態面でも対応すると推定する、「個体発生における翼の移行(ontogenetic-transitional wing)」仮説を提唱する。

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