先進国の多くでは、化石燃料の燃焼および農業での施肥のため、大気中の生物活性型窒素の堆積が産業革命前の2〜7倍の速度で進行している。こうした増大は、アジアおよび南アメリカの新興工業国では今後の50年間にわたって同じように進行していくと予想される。高速の窒素添加が環境に与える影響はよく研究されているが、地球上の多くの地域の特徴である長期にわたるもっと低速の添加に関しては研究が進んでいない。本研究では、環境大気の窒素堆積(当地では6 kg N ha−1 yr−1)に10 kg N ha−1 yr−1というわずかな窒素を長期間実験的に上乗せしたときの影響を検討した、数十年規模の実験の初めての結果を報告する。その全投入速度は、多くの先進国の陸上窒素堆積状況に相当する。この長期にわたる低速の窒素添加により、植物種の数は環境窒素堆積下にある対照との比較で17%減少した。さらに、低速添加では単位窒素添加量あたりの減少種数が大きく、長期にわたる少量の窒素堆積は多様性に対して以前に考えられたよりも大きな影響を与えている可能性が示唆される。別の実験では、窒素添加を中断して10年で、植物種の個体数量は戻らないが相対的な種数は回復することがわかり、窒素添加の影響には可逆的な部分があることが裏付けられた。