Letter 発生:ショウジョウバエPgcタンパク質は始原生殖細胞においてP-TEFbのクロマチンへの誘導を阻害する 2008年2月7日 Nature 451, 7179 doi: 10.1038/nature06498 生殖細胞は次世代へ遺伝情報を伝達する唯一の細胞であり、したがって、これらの細胞が不適切に体細胞へ分化することは阻止されなければならない。生殖系列の前駆細胞を分化誘導シグナルから保護する共通機構の1つは、RNAポリメラーゼII(RNAPII)依存的な転写の一過的かつ全体的な抑制である。ショウジョウバエ(Drosophila)と線虫(Caenorhabditis elegans)の胚ではいずれにおいても、生殖細胞系譜が確立される間に起こるメッセンジャーRNAの転写抑制は、転写伸長に重要な修飾であるRNAPIIのカルボキシ末端ドメインSer2残基(CTD Ser2)のリン酸化消失と関連している。本研究ではショウジョウバエ胚において、polar granule component(pgc)によってコードされる小さなタンパク質が、新たに形成された極細胞(生殖系列の前駆細胞)におけるCTD Ser2のリン酸化の抑制に必須であることを示す。体細胞における異所的なPgcの発現は、CTD Ser2のリン酸化を抑制するのに十分である。さらに、PgcはCTD Ser2のキナーゼ複合体であるP-TEFb(positive transcription elongation factor b)と物理的、遺伝学的に相互作用を示し、この複合体の転写部位への誘導を阻害する。これらの結果は、Pgcが細胞タイプ特異的なP-TEFb阻害因子であり、ショウジョウバエ生殖細胞系譜の確立に必須な役割をもつことを示している。線虫の胚では、PIE-1タンパク質が生殖系列の割球に分配され、P-TEFbとの相互作用を介してmRNAの転写を抑制すると考えられている。したがって、P-TEFbの抑制は線虫とショウジョウバエという異なる生物において、生殖細胞確立の際の共通した機構であると思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る