Letter 地球:浸食沈み込みプレート境界に沿った流体流量と地震発生の地質学的記録 2008年2月7日 Nature 451, 7179 doi: 10.1038/nature06486 沈み込むスラブによる、その上のプレートのテクトニックな浸食は、地球上の沈み込み帯のほぼ半分で起きていると考えられている。活動的な浸食境界における地質学的過程のin situ観察は、深海環境であること、また沈み込み帯のより深い部分で前弧地殻が失われるために、極めて困難である。これまでは、固定化した浸食沈み込み流路つまりプレート境界を形成する剪断帯が実際に認められたことはなく、浸食境界におけるプレート境界過程についての情報は地震学的観測でしか得られていない。本論文では、固定化した浸食境界がイタリアの北アペニン山脈に保存されていることを示す。これは、第三紀の海洋の沈み込みから大陸衝突への移行の時期に形成され、その後にプレート境界の活動が止まり固定化したことで保存された。浸食沈み込み流路の露頭は約500 mの厚さがある。これは、5 kmの深さの先端部が表れたものであり、深部では温度は約150 ℃に達している。固定化した領域には意外なことがいくつか記録されている。沈み込み流路の先端と底部では、同時に2つのデコルマン(分離断層)が活動していた。また、深い底部浸食と地表近くの先端部浸食の両方が起きていた。この浸食収束プレート境界内部では、浅部での伸張が重要な変形要因で、すべりは観察できるような流体圧サイクルなしで起きていた。深さ約3 kmより深部では、流体循環は、鉱脈の発達および地震と同時に起こる高速すべりと地震間に生じる低速すべりの交代によって明瞭に確認できる。沈み込み流路露頭の最深部では、伸張は最終的には圧縮構造に覆われている。現在の沈み込み帯では、地震活動は約150 ℃で始まると考えられているが、固定化したこの流路では、より低い古温度で始まったと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る