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ウイルス:インフルエンザAウイルスM2プロトンチャネルの構造と作用機構

Nature 451, 7178 doi: 10.1038/nature06531

インフルエンザウイルスの膜内在性タンパク質M2は、ウイルスの脂質エンベロープ内でpHによってゲートの開閉が制御されるプロトンチャネルを形成する。M2チャネルは、エンドソームの低pHにより赤血球凝集素が仲介する融合が起きる前に活性化される。プロトンの透過がウイルス内部を酸性化し、これによってウイルスのゲノムをほどくのに必要な過程である、ウイルス核タンパク質からの基質タンパク質解離が促進される。ウイルスの核タンパク質を放出するという役割に加えて、トランスゴルジネットワーク(TGN)膜にあるM2は、TGNのpHを宿主細胞の細胞質pHに平衡化することで、新しく合成された赤血球凝集素が細胞表面に輸送される間に時期尚早なコンホメーション再編成を起こすことを防いでいる。抗ウイルス薬アマンタジンやリマンタジンによってM2のプロトン透過を抑制すると、ウイルスの複製が抑制される。今回我々は、リマンタジンと複合体を作っている4量体M2チャネルの構造をNMRを用いて決定した。閉鎖状態では、密に詰め込まれた4つの膜貫通ヘリックスが狭いチャネルを作っており、アスパラギン酸との分子間相互作用によって「トリプトファンゲート」はロックされている。膜貫通ヘリックスとほとんど垂直に位置するカルボキシ末端の両親媒性のヘリックスが、底部内面を形成する。pHの低下が起こると、膜貫通ヘリックスの詰め込み状態が不安定化されてゲートのロックが開き、水によるプロトンの輸送が可能となるが、C末端が作る底部はもとの状態のままで4量体の解離を防いでいる。リマンタジンはゲート近くの4カ所の等価な部位でチャネルの脂質に面した側に結合し、チャネル孔の閉鎖コンホメーションを安定化させる。薬物耐性変異が起こると、チャネル孔の親水性の増加あるいはヘリックス間の詰め込みによる相互作用の弱体化のいずれかによって薬物結合の影響に拮抗し、これによってチャネルの開口が促進されるのだろう。

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