NAD依存性タンパク質デアセチラーゼSir2(silent information regulator 2)は数種の生物で寿命を調節している。酵母Sir2の哺乳類のオーソログであるSIRT1は、さまざまな細胞機能にかかわっており、腫瘍形成性をもつ可能性がある。SIRT1の細胞機能は広範に調べられてきたが、SIRT1活性の調節についてはあまりよくわかっていない。本論文で我々は、もともと乳がんでホモ接合体欠失のみられる8p12領域由来のクローンであるDBC1(Deleted in Breast Cancer-1)が、SIRT1と安定な複合体を形成することを示す。DBC1は、in vitro、in vivoのどちらにおいても、SIRT1と直接相互作用してSIRT1活性を阻害する。DBC1発現を抑制すると、遺伝毒性ストレスによって誘発されるアポトーシスのSIRT1依存性阻害が高まる。我々の得た結果は、SIRT1の調節の解明に役立つものであり、老化とがんの分子機構を理解する上で重要な示唆を含んでいる。