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腫瘍:ヒト黒色腫を発生させる細胞の同定

Nature 451, 7176 doi: 10.1038/nature06489

自己複製と分化能を有する腫瘍発生細胞(tumour-initiating cells)は腫瘍増殖の原因とされ、これまでヒト血液悪性腫瘍や固形がんで同定されてきた。そのような少数の細胞集団がヒト患者の腫瘍の進行に関連しているのなら、腫瘍発生細胞を特異的に標的とすれば、全身性の治療に対して現在抵抗性を示しているがんを排除する方法となりうる。今回我々は、化学療法剤抵抗性因子ABCB5の発現を特徴とするヒト悪性黒色腫発生細胞(MMIC)を多く含んだ亜集団を同定し、この少数の腫瘍形成性細胞集団を特異的に標的にすることで腫瘍の増殖が阻害されることを示す。ヒト黒色腫患者で認められるABCB5+腫瘍細胞は初期の分子表現型を示し、臨床における黒色腫の進行と相関がある。ヒトからマウスへの一連の異種移植実験で、ABCB5+黒色腫細胞は大部分のABCB5集団に比べ、強い腫瘍形成性を示し、臨床でみられる腫瘍の不均一性を再現した。in vivoでの遺伝的系統追跡を行った結果、ABCB5+亜集団の特異的な自己複製能と分化能が明らかになった。それは、ABCB5+がん細胞からはABCB5+およびABCB5両方の娘細胞を生じるが、ABCB5の腫瘍細胞集団からはそれよりは少ない割合でABCB5細胞のみが生じるからである。確立された腫瘍の増殖にもMMICが必要であるという仮説を調べるために設計された最初の原理検証解析では、ABCB5+ MMICに対して抗体依存性細胞傷害活性を誘発できることが示されているABCB5モノクローナル抗体の全身投与により、腫瘍抑制効果がみられた。がんの進行とともに増加するが、典型的な化学療法剤抵抗性決定因子を介して特異的に標的化されやすい腫瘍発生細胞の同定は、がん治療において重要な意義をもつ。

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