Letter 工学:地下油層でのメタン発酵による原油の生分解 2008年1月10日 Nature 451, 7175 doi: 10.1038/nature06484 地下の油層で起こる原油の生分解は、世界の原油の大部分に悪影響を与えており、採収と精製のコストを上昇させている。低深度地下油層で広汎に生じている生分解は、酸素を含む天水の地表涵養によって活性化する好気性細菌の炭化水素分解によるものとされている。この仮説は、より分解度の高い生分解原油が地表に近い油層で発見される機会が多いことから、経験的な裏付けが得られている。しかし、ごく最近の研究結果からは、地下堆積物環境では嫌気的な分解過程が支配的であることが示唆されているが、こうした過程は反応速度が遅く、油層で実際に生じている分解経路であるかどうかは確認されていない。本研究では、微小生態系を用いた室内実験を行い、分解された原油と生成されたガスの炭化水素組成を計測し、坑口で採取したガスと原油の試料の炭素同位体組成およびレイリー同位体分別ボックスモデルを組み合わせて、油層における炭化水素分解の機構と考えられるものを解明した。実験室におけるメタン発酵条件下での原油の炭化水素分解は、油層で分解した原油に特徴的な化合物群の段階的消失に類似していることがわかった。最初に選択的に消失したn-アルカンからは、主に水素資化性のメタン発酵によって、化学量論量に近いメタンが生じた。今回のデータから、地下油層の分解には共通のメタン発酵性の生分解機構が働いており、一定の炭化水素変質パターンが生じ、世界中でみられる乾性ガスと分解の進行した原油の間に共通の関係があることが示唆される。自然のメタン発酵による生分解を加速させて油田からメタンの形でエネルギーを採収することは、油田からの採収が困難なエネルギーを経済的に生産する手段となるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る