Letter 進化:初期に分岐した菌類におけるsex遺伝子の同定 2008年1月10日 Nature 451, 7175 doi: 10.1038/nature06453 菌類における性決定を制御しているのは、ゲノム中の狭い特化した領域であり、これは動物や一部の植物の場合にみられる大型の性特異的染色体とは対照的である。このような接合型(MAT)遺伝子座にあって性を決めているのは異なった組み合わせの複数の遺伝子であるが、こうした遺伝子は常にホメオドメイン転写因子、αボックス転写因子、HMG(high-mobility group)ドメイン転写因子をコードしている。これまでのところ、MAT遺伝子座が解明されているのは、菌類の単系統性のクレードであるディカリア亜界(子嚢菌門と担子菌門)のものであり、祖先でのこの遺伝子座の状態や進化の歴史については解明されていない。菌界の原始的な仲間の接合についてはそれほど研究が進んでおらず、互いの分類学的な関係すら正確にわかっているとはいえない。今回我々は、バイオインフォマティクスと遺伝子マッピングの手法により、菌類の中でも初期に分岐した系統に属するヒゲカビの一種、Phycomyces blakesleeanus(接合菌類)の性決定(sex)領域の同定を行った。各sex対立遺伝子にはHMGドメインタンパク質をコードする遺伝子1個が含まれることから、菌類のMAT遺伝子座の原型はHMGドメインタンパク質であることが示唆される。さらに、対立遺伝子の1つには独特な染色体特異的反復配列も1コピー含まれていたことから、真核生物の性決定と性染色体構造の進化では、ごく初期段階に普遍的な機構があることも示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る