Letter 細胞:Nanogは多能性を保護し、生殖系列の発生を仲介する 2007年12月20日 Nature 450, 7173 doi: 10.1038/nature06403 Nanogは、哺乳類の多能性細胞および発生中の生殖細胞に存在し、多岐にわたる作用をもつホメオドメインタンパク質である。Nanogの欠失は初期胚の致死をもたらすが、その構成的な発現により、胚性幹細胞の自律的な自己複製が可能となる。したがって、Nanogは多能性の転写ネットワークにおける中心的要素と考えられる。しかし、今回我々はマウス胚性幹細胞中でNanogの変動がみられることを報告する。Nanogが一過性に減少すると、細胞は分化へ向かうようにみえるが、拘束はされない。遺伝子を欠失させて調べたところ、このような細胞は分化する傾向があるものの、Nanogが永続的に欠損している状態では胚性幹細胞は無期限の自己複製が可能となる。増幅したNanogヌル細胞は胚葉にコロニーを形成し、胎仔と成体のキメラの両方で多系列の分化を示す。また、生殖細胞系列へも動員されるが、Nanogを欠損する始原生殖細胞は、生殖隆起に到達しても成熟しない。この欠陥は、変異対立遺伝子の修復によって救済される。したがって、Nanogは身体の多能性の発現には必要ではないが、生殖細胞の形成には特に重要である。つまりNanogは、多能性のハウスキーピング装置にではなく、内部細胞塊の形成と生殖細胞の状態に主に作用する。Nanogは選択的な遺伝子発現状態を妨害または逆転させることにより、培養胚性幹細胞を安定させていると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る