Letter 古気候:暁新世/始新世境界における軽い炭素の急速な注入に先行した環境上の変化 2007年12月20日 Nature 450, 7173 doi: 10.1038/nature06400 暁新世/始新世境界温暖極大期、つまり約5,500万年前の異例な地球温暖化の時期の開始は、13Cの少ない(「軽い」)炭素の海洋―大気系への大量の注入を反映する炭素同位体の顕著な負異常によって特徴づけられる。この変動の特徴である全球表面温度の急速な上昇と環境変動は、炭素注入によって始まったと考えられることが多いが、事象が正確にどのような順序で起こったのかははっきりしていない。本論文では、堆積物の堆積速度が高い米国ニュージャージー州の2つの堆積物断面から得られた暁新世/始新世境界にまたがる環境変動の化学的記録と生物学的記録を提示する。渦鞭毛藻類のシストであるApectodiniumの大量出現(アクメ)によって記録されるような環境変動の開始と、古温度計TEX86によって立証されるような海洋表層の昇温の開始が、軽い炭素の注入に数千年先行して起こっていたことが明らかになった。南西太平洋と北海から得られた堆積物断面でも、Apectodiniumのアクメの開始は炭素同位体比異常に先行しており、環境変動が先に始まったことはニュージャージー州の大陸棚にだけではないことが示される。ニュージャージー州の大陸棚水の昇温開始と炭素同位体比異常との間にほぼ3,000年の隔たりがあるのは、海底水の昇温が海底のメタンハイドレートの解離を誘発し、それによって13Cが枯渇した炭素の注入が起こったとする仮説と一致するが、早期の温暖化の原因はまだわからないままである。 Full Text PDF 目次へ戻る