Letter

生理:パフォーマンスの変動可能性によって、成鳥の「結晶化した」さえずりに適応的な可塑性が備わる

Nature 450, 7173 doi: 10.1038/nature06390

非常に熟練した技能であっても、試技ごとに少なからず変動がみられる。ある有力な説では、そのような変動は単に、神経系が制御できない「ノイズ」であるか、あるいはその動物の行動にとって意義をもたない「ノイズ」であるとされている。別の説では、そのような変動によって試行錯誤学習が可能となり、その過程では運動系が変動を生み出して、よりよい結果を生じるような行動を選択的に保持すると考えている。今回我々は、後者の説をジュウシマツ成鳥の歌で検証した。成鳥のさえずりは、1つの歌唱から次の歌唱へと高度に定型化した様式で連続的に作り出される複雑な学習型の運動技能である。にもかかわらず、安定な、いわば「結晶化した」成鳥の歌においても、さえずるたびに微小な変動がみられる。我々は、コンピューターを使ったシステムを用いて、対象とする歌成分のピッチ(音の高低)にみられる微小な自然変動を記録し、それらの変動の一部の音をリアルタイムで破壊して(ノイズを加えて)鳥に聞かせた。ジュウシマツは、音の破壊を避けるために、適応的な様式で発声ピッチを即座に変化させた。このような発声変化は、破壊対象とした歌成分だけに正確に限られていた。それゆえ、ジュウシマツは自身の発声における微小な変動を、差異のある結果と結びつけることにより、効果的に学習することができた。このような過程は、加齢や傷害のために発声制御系に変化が生じても、学習した歌を安定に維持するのに役立っている可能性がある。もっと一般的に考えると、今回の結果は、十分に学習した技能に残存する変動可能性は、すべてがノイズというわけではなく、むしろ、継続的な学習やパフォーマンスの最適化を助けるような有意義な運動探査活動を反映したものであることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度