Letter

医学:微小チップ技術を用いた癌患者の稀少循環腫瘍細胞の分離

Nature 450, 7173 doi: 10.1038/nature06385

生存可能な腫瘍由来上皮細胞(循環腫瘍細胞、circulating tumour cell[CTC])は癌患者の末梢血中に見つかっており、おそらく難治性転移疾患の起源と考えられる。CTCは非常にまれにしか存在しないが、侵襲的な生検の代わりうるものとして、非血液性癌の検出、特徴づけ、経過観察のための腫瘍組織採取源として使える可能性がある。CTCの亜集団を同定、分離、増殖させ、分子的性質を調べることができれば、癌幹細胞の生物マーカーの発見や、転移の生物学機構の理解につながるかもしれない。現時点で可能なCTCの分離方法は複雑な分析的な方法に限られており、収量も純度も極めて低い。今回我々は、末梢の全血標本から効率的で選択的な生存CTCの分離を可能にする独自のマイクロ流体プラットフォーム「CTCチップ」を開発したので報告する。このCTCチップは精密に制御された層流条件下で標的となるCTCと上皮性細胞接着分子抗体(EpCAM)でコートされた微小ポストの相互作用を介するもので、標本に前もって標識づけしたり処理したりしておく必要がない。CTCチップを用いることで転移性の肺、前立腺、膵臓、乳腺、結腸の癌患者からの116の末梢血標本のうち115標本(99%)でCTCを同定でき、1 mlあたり5〜1,281個のCTCが得られ、純度はおよそ50%だった。さらに、7名の早期前立腺癌患者全員からCTCが分離された。CTCチップが高い検出率と特異性を示すことから、我々は抗癌治療に対する反応を、CTCチップを用いてモニターする可能性を検討した。全身治療を受けている転移性癌患者の小コホート集団で調べたところ、CTC数の経時的変化は、通常のX線検査法によって測定した疾患の臨床経過とかなりよく相関していた。したがって、CTCチップは、癌患者のCTCを正確に検出し測定する新しい効率的な手段を提供する。CTCチップは、癌生物学研究、並びに癌の検知、診断、経過観察を含む癌の臨床管理の両方の進歩に広範なかかわりをもつと考えられる。

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