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生理:mTORはYY1-PGC-1α転写複合体を介してミトコンドリアの酸化機能を制御する

Nature 450, 7170 doi: 10.1038/nature06322

ペルオキシソーム増殖活性化受容体コアクチベーター(PGC)-1αを含む転写複合体は、エネルギー恒常性維持のため、栄養素やホルモンシグナルに応じてミトコンドリアの酸化機能を制御している。エネルギーと栄養素経路の重要な成分の1つが、mTOR(mammalian target of rapamycin)であり、これは細胞の成長、サイズや生存を調節するキナーゼである。しかし、mTORがミトコンドリアの酸化活性を制御しているのかどうかも、その制御の仕組みも不明である。今回我々は、mTORがミトコンドリア酸化機能の維持に必要なことを明らかにする。骨格筋の組織および細胞では、mTOR阻害剤ラパマイシンが、いずれもミトコンドリアの転写調節因子であるPGC-1α、エストロゲン関連受容体α、NRF(nuclear respiratory factor)遺伝子の発現を低下させ、その結果、ミトコンドリアの遺伝子発現と酸素消費が低下する。コンピューターゲノミクスの手法により、転写因子yin-yang 1(YY1)がmTORとPGC-1αの共通の標的であることを突き止めた。YY1をノックダウンすると、ミトコンドリアの遺伝子発現と呼吸が著しく低下し、ラパマイシンによる前述の遺伝子の抑制にはYY1が必要となる。mTORとraptor(mTOR複合体の成分の1つ)はYY1と結合し、mTORを阻害するとYY1はPGC-1αと結合できなくなり、PGC-1αによる共活性化が起こらなくなる。したがって、栄養素を感知するセンサー(mTOR)がミトコンドリアの酸化機能を転写段階で制御することによりエネルギー代謝の均衡が保たれる機構が明らかになった。これらの知見は、代謝疾患や癌でこれらの経路がどのように変化しているかの解明に、重要なかかわりがある。

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