Letter 生理:p53はLIFを介して母体の生殖を制御する 2007年11月29日 Nature 450, 7170 doi: 10.1038/nature05993 p53が腫瘍の予防に重要であることは、多くの研究によって示されてきた。しかし、その本来の生理的機能については、ほとんど明らかにされてはいない。今回我々は、p53が生殖において性特異的に重要な役割を果たすことを示す。p53−/−の雌マウスとの交配では、胚の着床、妊娠率および同腹仔数のかなりの減少が認められたが、p53−/−雄マウスとの交配では、認められなかった。着床に極めて重要なサイトカインである白血病抑制因子(LIF)をコードする遺伝子は、p53による調節を受ける遺伝子として同定され、この作用の下流におけるメディエーターとして機能することがわかった。p53は、LIFの基礎転写および誘導性転写を調節する。p53の欠損では、子宮内のLIF量および機能がいずれも低下した。p53−/−マウスの子宮内では、p53+/+マウスと比較してLIF量が低下しており、一時的な高レベルのLIFの誘導が胚の着床に極めて重要な妊娠4日目には特に顕著であった。この知見は、p53−/−雌マウスにおける胚着床障害を説明づけるものと考えられる。妊娠中のp53−/−マウスにLIFを投与すると、着床が改善されて母体の生殖機能が回復した。今回の結果は、母体の生殖において、p53がLIFの制御を介して働いていることを示している。p53がヒトにおいても同様の機能を有すると考えられる証拠も集まりつつある。 Full Text PDF 目次へ戻る