Letter 宇宙:金星の雪氷圏の温暖な層と、高高度におけるHF、HCl、H2O、HDOの測定 2007年11月29日 Nature 450, 7170 doi: 10.1038/nature05974 金星には、高度40 kmから60 kmに分布する硫酸エアロゾルの粒子からなる厚い雲が存在する。高度60〜100 kmの領域(中間圏)は、厚い雲の雲頂における公転とは逆方向の4日周期のスーパーローテーションと、熱圏(100 km以高)における太陽側から太陽と反対側への循環との間の遷移領域であり、後者の循環は、太陽直下点上空で上昇し、夜側大気への運動がみられる。中間圏は、光学的厚さが変化する薄いもやを含んでおり、その主な構成成分の微量気体は、CO、SO2、HCl、HF、H2O、HDOである。しかし、従来の降下探査は、60 kmかそれ以下の高度で開始されたため、もやと分子種の鉛直分布はほとんど知られていない。本論文では、夜側大気の高度90〜120 kmにおいて、広大な温暖層を検出したことを報告する。この温暖層は大気の沈降の際の断熱加熱に起因すると解釈できる。金星の夜側大気では、この層がなければ非常に寒冷であり、高度100 km以上では「雪氷圏」とよばれるほどであるため、このような温度の強い逆転層の存在は予想外であった。我々は、HF、HCl、H2O、HDOの中間圏における分布についても測定した。HClは、40年前に報告されたよりも少量だった。HDOとH2Oの比率は、大気下層に対して約2.5倍増加しており、また高度80〜90 km付近では概してH2Oが枯渇しているが、これについては説明できない。 Full Text PDF 目次へ戻る