Article 神経:線虫の嗅覚行動にかかわる回路の分析 2007年11月1日 Nature 450, 7166 doi: 10.1038/nature06292 神経系の特性の多くは動物間および器官間で共通しているが、異なる神経回路が共通の戦略を用いて行動を導いているかどうかは明らかでない。本論文では、線虫(Caenorhabditis elegans)において、食餌とにおいで誘発される行動を制御する嗅覚ニューロン(AWC)および介在ニューロン(AIBおよびAIY)による情報処理の特徴を明らかにする。我々は、カルシウムイメージング法、並びに特定の神経結合に影響を及ぼす変異を用い、AWCニューロンがにおいの除去によって活性化され、AMPA型グルタミン酸受容体を介してAIB介在ニューロンを活性化することを示す。AIB介在ニューロンのカルシウム濃度は、におい除去後から数分間上昇するが、このような神経の状態は、におい消失に対する長期間持続する行動反応と相関する。AWCニューロンは、グルタミン酸依存性塩素イオンチャネルを介して、AIY介在ニューロンを阻害する。においが存在すると、この阻害は軽減され、AIY介在ニューロンが活性化する。AIYおよびAIB介在ニューロンの逆向きの制御によって、協調的な行動応答が生まれる。この回路を用いた情報処理は、脊椎動物の光受容器からの「OFF」型および「ON」型双極ニューロンへの情報の流れに類似しており、知覚情報の処理の進化的に保存された、あるいは収斂した戦略であることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る