Letter

微生物:卵菌類のエフェクタータンパク質の宿主植物細胞への送達に使われる転移シグナル

Nature 450, 7166 doi: 10.1038/nature06203

細菌、卵菌類、および菌類に属する植物病原体は、エフェクタータンパク質を宿主細胞内に転移させることで疾病を成立させ、宿主細胞ではその自然免疫系を直接操作しているらしい。細菌では転移にIII型分泌系が用いられるが、菌類および卵菌類では、これに相当するエフェクター送達過程が未解明である。今回我々は、転移された卵菌エフェクター中に存在するRXLRおよびEERという2つのモチーフに関して機能解析を行った。転移のレポーターにはPhytophthora infestansのRXLR-EER含有タンパク質Avr3aを用いた。これは、Avr3aがR3a抵抗性タンパク質を含む植物細胞で認識されると、RXLR-EER非依存的な過敏性細胞死を引き起こすためである。Avr3aは、RXLR-EERモチーフの有無にかかわらず、P. infestansの吸器という寄生構造体から分泌されることがわかり、吸器へのターゲッティングにも分泌にも、このモチーフが不要であることが示された。しかし、Avr3aのRXLR-EERモチーフを一方ずつ、または双方同時にアラニン残基で置換したり、KMIK-DDK残基(このタンパク質の物理化学的性質が保存される組み換えの例)で置換したりすると、P. infestansはAvr3aおよびAvr3a-GUS融合タンパク質を植物細胞に送達できなくなることから、これらのモチーフが転移に必要であることがわかった。感染中には、RXLR-EERをコードする遺伝子は転写が活性化されることを示す。P. infestansゲノムのバイオインフォマティクス解析により、RXLR-EER型の分泌タンパク質をコードすると推定される遺伝子が425個同定された。この種のタンパク質が同定されたことにより、卵菌類が宿主を操作して感染を成立させる仕組みを突き止めるまたとない機会が得られた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度