Letter 地球:海洋島火山活動における非平衡脱ガスとヘリウムの始原的供給源 2007年10月25日 Nature 449, 7165 doi: 10.1038/nature06240 4Heはウランとトリウムの放射壊変から生成されるが、地球マントル内の3Heは放射壊変では生成されず、地球が集積したときに取り込まれたもののみであり、つまり始原的である。ハワイやアイスランドなどのホットスポット火山で噴出した海洋島玄武岩(OIB)では、3He/4He比が大洋中央海嶺玄武岩(MORB)よりも高いことが多く、最大で6倍になる。このことは、大洋中央海嶺では放射壊変による4Heが内部で増加するとともにメルトの生成による脱ガスが起きた結果であると推測され、その結果、3He濃度と3He/4He比が共に低い、揮発性物質が枯渇した上部マントル(MORB生成源)が作られたと考えられる。したがって、OIB中の高い3He/4He比は、浮力で上昇する高温の深部マントルプリュームにより採取された、脱ガスしていない始原的マントル生成源の証拠であると従来考えられてきた。しかし、この従来のモデルは、OIB中のヘリウム濃度やHe/NeとHe/Arの元素比がMORB中より1桁小さい理由をはっきりと説明することができない。このことは「ヘリウム濃度パラドックス」と言われ、地球マントルの構造と動態に関する長く続く論争の一因となっていた。本論文では、このヘリウム濃度パラドックスと、MORBとOIBのガラス質中にみられる希ガス濃度全体が、噴出するマグマの非平衡開放系における脱ガスにより自己矛盾なく説明できることを示す。OIBのCO2濃度がMORBより高いことが、OIBマグマでのヘリウムのより大規模な脱ガスにつながり、OIB溶岩中の希ガスはほとんど脱ガスしていない始原的マントル生成源由来である可能性が示される。 Full Text PDF 目次へ戻る