Letter 物理:凝縮物質におけるアト秒分光法 2007年10月25日 Nature 449, 7165 doi: 10.1038/nature06229 凝縮物質系における電子の動的な挙動に関する幅広い知識は、半導体や分子のエレクトロニクス、光エレクトロニクス、情報処理、光起電力技術など多くの現代技術の開発に不可欠である。しかし、電子過程の多くはアト秒(1 as = 10−18 s)領域で起こり、その過程を調べるのはいまだに困難な課題である。一方、原子の運動はフェムト秒(1 fs = 10−15 s)時間スケールで起こり、固体ではフェムト秒X線源を使って実時間で調べられている。本論文では、これまで気相中の孤立原子の研究に使われていたアト秒技術を拡張して、凝縮物質系と表面の電子運動を実時間で観測した。単結晶タングステンからの光電子放出を調べることにより、アト秒分解能で電荷ダイナミクスを時間領域で直接調べられることが実証された。得られたデータから、金属の局在した内殻状態から生じる光電子の放出は、局在しない伝導バンド状態から自由になった光電子の放出から約100アト秒遅れることが明らかになった。以上の結果から、アト秒の計測法は、気相系だけでなく、凝縮物質系や表面においてアト秒時間スケールで起こる基本的な電子過程を調べる強力な手段となることが示される。 Full Text PDF 目次へ戻る