Letter 生態:ワタリアホウドリ、マルハナバチ、シカにおけるレヴィ・フライト的探索パターンの再検討 2007年10月25日 Nature 449, 7165 doi: 10.1038/nature06199 動物の採餌行動研究は生態学の実践において重要であり、探索戦略の最適化というもっと広範囲にわたる科学的問題の典型例である。レヴィ・フライトはランダムウォークの一種であり、そのステップ長はべき乗の裾野部分が大きい確率分布に従っていて、短いステップからなるクラスターが数少ない長いステップで連結されるような形をとる。レヴィ・フライトはフラクタル特性を示し、標準的なスケールはなく、物理系や化学系で観察される。自然界の生物系でレヴィ・フライトが存在することを実証する試みにより、ワタリアホウドリが海面の獲物を探索する際にレヴィ・フライト挙動をとることの証拠が示されている。このよく知られた知見の後に、シカやマルハナバチの探索戦略に関して類似の推論が提示された。これらの先駆的研究は、物理学における多くの理論研究の引き金となり、またトナカイ、微小動物プランクトン、ハイイロアザラシ、クモザル、漁船に関する実験生態学的解析も行われた。今回我々は、ワタリアホウドリの飛行の新しい高精度データセットを解析したが、レヴィ・フライト挙動を示す証拠が全く見つからなかった。しかし、飛行時間はガンマ分布に従っており、最も長い飛行に近づくにつれて指数的に減少することがわかった。我々は、アホウドリのオリジナルデータを付加的情報を用いて再解析し、レヴィ・フライト挙動を実証するのに不可欠である、極端な長時間飛行が偽物であったと結論する。また我々は、尤度とAkaike weight(赤池の重み)を用いた、広く適用可能なべき乗分布検定法を提案する。シカとマルハナバチの4つのオリジナルデータセットにこの検定法を適用し、そのいずれにもレヴィ・フライトの証拠がなく、当初の作図的方法では不十分であることを見いだした。そのような作図的方法は、他の生物でレヴィ・フライト的運動を結論づけたり、レヴィ・フライト分析が生態系をリアルタイムで観測する手段になりうることを提案したりするために取り入れられている。我々の結果は、生物のレヴィ・フライトに関する実証的証拠の確度に疑問を呈するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る