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化学:質量分析のためのクラスレートナノ構造体

Nature 449, 7165 doi: 10.1038/nature06195

質量分析法は気相中で無傷の生体分子イオンを効率よく生成できるため、メタボロミクス、プロテオミクス、生体イメージング、バイオマーカーの発見、臨床検査(すなわち新生児スクリーニング)に幅広く応用されている。マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)とエレクトロスプレーイオン化法は、このような展開の最前線にある。しかしマトリックスの適用が、細胞、組織、生体流体、およびマイクロアレイ分析へのMALDIの利用を複雑にし、マトリックス結晶のサイズ(おおむね10 µmより大きい)、感度、低分子化合物(500 Da未満)検出が原因となり空間分解能が制限されることがある。二次イオン質量分析法は、水平方向の分解能が100 nmと極めて高く生物学分野に応用されてきたが、その強力な脱離/イオン化によって分子が断片化される欠点がある。今回我々は、空間的に限定された質量分析のための手段である、ナノ構造イニシエーター質量分析法(nanostructure-initiator mass spectrometry:NIMS)を紹介する。NIMSは、ナノ構造をもつ表面に捕捉された「イニシエーター」分子、すなわち「クラスレート」を用いて、その表面に吸着された無傷の分子を放出しイオン化する。この表面は、イオン照射とレーザー照射の両方に対応する。NIMSは水平方向の分解能(イオンNIMSで約150 nm)と感度が高く、マトリックスが不要であり、断片化が少なくなるため、ペプチドマイクロアレイの直接キャラクタリゼーション、単一細胞の直接質量分析、組織イメージング、並びに血液と尿の直接キャラクタリゼーションが可能になる。

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