Letter 生態:海洋性硫酸還元細菌による短鎖炭化水素の嫌気的酸化 2007年10月18日 Nature 449, 7164 doi: 10.1038/nature06200 短鎖炭化水素であるエタン、プロパンおよびブタンは、天然ガスの構成成分である。こうした物質は熱化学的に生じたものと考えるのが一般的であるが、エタンおよびプロパンに関しては生物学的生成も確認されている。微生物による短鎖炭化水素の利用は一部の好気性種で示されているが、嫌気性細菌には認められていなかった。その一方、多様な嫌気性細菌が長鎖の同族体(≥ C6)で増殖することから、短鎖炭化水素の嫌気的利用が原理的には予想される。実際、炭化水素に富むが、利用できる酸素が少ないか全くない生息場所の化学分析から、短鎖炭化水素のin situ生分解が起こっていることが示されている。本論文では、そのような能力をもつ硫酸還元細菌(SRB)が海洋の炭化水素浸出領域に多いことを示す。増殖基質をプロパンまたはn-ブタンに限ると、12 ℃、28 ℃、または60 ℃で増殖する沈殿物のない硫酸還元性の集積培養系が得られた。エタンを用いると集積速度が低下し、12 ℃で残留沈殿物が生じた。単離実験では、プロパンおよびn-ブタンのみを利用する中温性の純粋培養物(BuS5株)が得られた(メタン、イソブタン、アルコール、およびカルボン酸では増殖が進まなかった)。炭化水素からCO2への完全酸化、および12Cに富むアルカンの選択的酸化は、BuS5株およびその他の培養系で認められた。プロパンの代謝物にイソプロピルコハク酸とn-プロピルコハク酸が含まれたことから、アルカンはフマル酸の関与によって2位炭素のみならず末端炭素も活性化されることが、今回初めてわかった。16SリボゾームRNAの解析から、BuS5株は、広範に分布する海洋性SRBの中の一群であるDesulfosarcina/Desulfococcusに分類される。プロパンを用いて60 ℃で行った集積培養では、Desulfotomaculumに似たSRBが優占した。今回の結果により、プロパンおよびブタンの浸出領域およびガス貯留層では、さまざまなSRBが増殖可能であり、ガス組成を変化させるとともに硫化物生成に寄与していることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る