Article 細胞:ヘリコバクターはIV型分泌とキナーゼの活性化にインテグリンを使う 2007年10月18日 Nature 449, 7164 doi: 10.1038/nature06187 インテグリンは、哺乳類で正常な細胞機能に関与するだけでなく、慢性炎症と癌の病因にも関与する重要な受容体である。我々は、胃の病原体およびグループ1(ヒトに対して発癌性を示す)の発癌物質であるピロリ菌(Helicobacter pylori)が、細菌の癌タンパク質である毒素関連タンパク質A(CagA)を胃の上皮細胞に注入する際にインテグリンを使うことを示す。病原性のピロリ菌は、IV型分泌にかかわる線毛を発現し、これが宿主細胞にCagAを注入する。その後、SrcファミリーキナーゼによってCagAのチロシンがリン酸化される。しかし、この過程に関与する宿主細胞受容体が何かは明らかにされていなかった。本論文では、ピロリ菌のCagLタンパク質が線毛表面を標的とする特殊化したアドヘシンであり、胃の上皮細胞上に存在するインテグリンα5β1受容体にアルギニン-グリシン-アスパラギン酸モチーフを介して結合し、活性化することを示す。この相互作用は、標的細胞へのCagAの送達だけでなく、局所接着キナーゼとSrcの活性化も引き起こす。これらの知見は、ピロリ菌が誘発する病因におけるインテグリンの役割解明の手掛かりを与える。CagLは、インテグリン・シグナル伝達の解明をさらに進めるための新たな分子として使えると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る