Article 発生:ヒストンH3のリシン27デメチラーゼは動物の後部の発生を制御する 2007年10月11日 Nature 449, 7163 doi: 10.1038/nature06192 最近、ヒストンデメチラーゼが多数発見されたが、これは、こうした酵素がヒストンメチル化の動態の制御に中心的な役割を果たしていることを示している。ヒストンH3のK27のトリメチル化(H3K27me3)は、polycombグループのタンパク質を介したHox遺伝子の抑制と動物の体のパターン形成、X染色体不活性化、そしておそらくは胚性幹細胞(ESC)の性質の維持にも関連があることがわかってきている。メチラーゼEZH2の過剰発現によるH3K27のメチル化の不均衡は、転移性前立腺癌や進行性の乳癌に関係することが知られている。本論文では、JmjCドメインを含む類似タンパク質UTXとJMJD3が、H3K27me3/2の脱メチル化を触媒することを明らかにする。HOX遺伝子がそれぞれが異なった発現をしているヒトの一次繊維芽細胞では、UTXは、多数のHOX遺伝子の転写開始部位付近に特に多く存在するが、HOX遺伝子のほとんどがサイレンシングされているESCでは、UTXはHOX遺伝子座から選択的に排除されている。またこれと一致して、UTXをRNA干渉によって阻害すると、一部のHOX遺伝子プロモーターでH3K27me3の割合が増加する。重要なのは、ゼブラフィッシュのUTXホモログをモルフォリノオリゴヌクレオチドで阻害すると、hox遺伝子の調節異常につながり、著しい後部発生異常が生じることである。この異常は、野生型ヒトUTXによってある程度救済されるが、触媒活性のないUTXでは救済されない。まとめると、これらの知見は、H3K27メチル化の制御と動物の前後方向の発生に進化上保存された重要な役割をもつ、少数のH3K27デメチラーゼファミリーの存在を明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る