Letter

言語:単語の使用頻度からインド・ヨーロッパ語の歴史における語彙進化速度が推測される

Nature 449, 7163 doi: 10.1038/nature06176

英語の「tail(尾)」にあたる語は、ギリシア語では「ovpá」、ドイツ語では「schwanz」、フランス語では「queue」だが、これらの言語で1の次の数を表す言葉は、どれも「two」に関連している。100を超えるインド・ヨーロッパ語と方言の中には、同じ意味を表す言葉なのに、「tail」のように進化が速くて言語によって何十もの関連のない語が使われているものもあれば、数字の「two」のように進化がはるかに遅くて、インド・ヨーロッパ語族すべてで似た語形が使われているものもある。意味によって語彙変化の速度がこのように顕著に異なる理由を説明できる、一般性のある言語学的機構はまだ提唱されていない。今回我々は、4つの互いに異なる言語群の大規模な言語資料(英語、スペイン語、ロシア語、ギリシア語)と、87種のインド・ヨーロッパ語の200の基本的な語彙の意味の比較データベースを用いて、現在の言語でこれらの語が使われる頻度によって、数千年にわたるインド・ヨーロッパ語の進化の歴史の中で語の置き換えが起こった頻度が推測できることを明らかにする。これら200の意味のすべてにおいて、高頻度で使用される言葉は進化速度が遅く、使用頻度の低い言葉の方が進化が速い。また、このような関係は4つの言語資料のいずれにおいても、話し言葉の複数の品詞を通して、別個に、かつ等しく認められ、歴史的な語彙置換速度にみられる差異の約50%が、このような関係で説明できた。特定の言葉が日常語として使われる頻度は、その進化の速度に一般的で法則に似た影響を及ぼすものと我々は考える。今回の知見は、選択の役割を重視する単語変化の社会的モデルと一致しており、あらゆる言語において、人による言葉の使い方が原因で、一部の言葉はゆっくりと、また他の言葉は速く進化することが示唆される。

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