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生理:ヒト嗅覚受容体の遺伝的差異が匂いの知覚を変化させる

Nature 449, 7161 doi: 10.1038/nature06162

ヒトの嗅覚には極めて大きな個人差があり、特定の匂いの強さと快・不快の知覚には大きな差異があることが報告されている。例えば、テストステロン誘導体で芳香性ステロイドであるアンドロステノン(5α-アンドロスト-16-エン-3-オン)は、不快(「汗臭い、尿臭い」)、快い(「甘い、花のよう」)、あるいは無臭などといった、人によって異なる認識がなされる。匂い知覚のこれと同様な差異は、他の何種類かの匂いでも認められるが、匂い知覚に個人差が生じる仕組みの基盤は不明である。我々は、匂い知覚の個人差がヒト嗅覚受容体遺伝子の変異によって部分的に説明できるかどうかを検討した。本論文では、ヒト嗅覚受容体の1つであるOR7D4が、in vitroでアンドロステノンおよび同族の芳香性ステロイドであるアンドロスタジエノン(アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン)により選択的に活性化されるが、他の64種類の匂いと2種類の溶媒には反応しないことを示す。この受容体で広くみられる遺伝的変動(OR7D4 WM)は2つの非同義一塩基多型(SNP)を含んでおり、結果として2つのアミノ酸置換(R88WとT133M、そのため対立遺伝子は「RT」と表す)が生じ、in vitroで機能を強く障害する。RT/WMあるいはWM/WM遺伝子型をもつグループの被験者は、RT/RTグループに比べてアンドロステノンとアンドロスタジエノンに対する感受性が低く、どちらの匂いに対しても不快さの感じ方が弱かった。OR7D4の遺伝子型の差異から、こうしたステロイドの匂い知覚にみられる誘意性(快・不快)や強さの違いのかなりの部分が説明できる。我々の結果は、ヒト嗅覚受容体のin vitroでの機能と匂い知覚の結びつきを初めて明らかにするものである。

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