Letter 細胞:GPR125+生殖系列前駆細胞からの、数種類の細胞種に分化できる機能をもった成体組織幹細胞の生成 2007年9月20日 Nature 449, 7160 doi: 10.1038/nature06129 哺乳類成体の精巣は、多分化能性幹細胞の供給源である。しかし、特異的表面マーカーがないことが、生殖細胞のどのサブセットが複数の細胞種に分化できる細胞になるのかを突き止め、追跡するのを妨げている。培養した成体精巣からは、in vitroでわずか数週間で胚性のものに似た細胞が誘導できるが、長期培養した自己再生能をもつ成体精原細胞からも同様な幹細胞が誘導できるかどうかはわかっていない。今回我々は、CD34+ストロマ細胞を含み有糸分裂が不活性化された精巣フィーダー細胞上で培養することにより、高い増殖力をもつ成体精原細胞前駆細胞(SPC)が得られることを明らかにする。SPCはin vivoで精巣再構築活性を示し、長期培養においても複数の細胞種に分化できる精原由来成体組織幹細胞(MASC)を生じる能力を保っている。さらに、SPCとMASCは共に、オーファン受容体でGタンパク質共役型細胞接着受容体であるGPR125を発現している。GPR125とβ-ガラクトシダーゼ(LacZ)の融合タンパク質(GPR125-LacZ)を本来のGpr125プロモーター制御下にもつノックインマウスでは、精巣での発現は精原細胞だけにみられ、分化した生殖細胞ではみられなかった。GPR125-LacZ SPCの一次細胞系列はGPR125の発現を維持しており、クローン増殖し、生殖系列幹細胞の表現型を保ち、ブスルファン投与マウスの精子形成を復活させた。GPR125+ SPC(GSPC)を長期培養すると、GPR125+ MASCコロニーへと変化した。GPR125+ MASCからは3種類の胚葉が誘導され、キメラ胚が形成され、同時にGPR125の発現が低下して、GPR125−細胞へと分化する。またMASCは、in vitroで収縮性の心臓組織へと分化し、in vivoで機能をもった血管を形成する。成体マウスにおいて、さらに最終的にはヒトの精巣においても、GPR125を分子標識として用いれば、SPC集団を濃縮してGPR125+ MASCを誘導することが可能になり、これを遺伝子操作、組織再生、虚血を起こした臓器での血管再生に利用できるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る