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気候:暁新世/始新世境界温暖極大期における陸上メタンサイクルの増大

Nature 449, 7160 doi: 10.1038/nature06012

約5,500万年前に起こった強い全球的温暖化の時期である暁新世/始新世境界温暖極大期(PETM)は、温室効果ガスの濃度の急激な上昇が原因とされ、その説明として最もよく持ち出されているのがメタンハイドレートの解離である。これまで、高緯度域で陸上環境からメタンが放出され温暖化への影響が高まった可能性が示唆されてきたが、湿地からのメタンフラックスの増大を示す直接的証拠は存在しなかった。英国のコバム褐炭層(Cobham Lignite)は、近年その特性が明らかにされた大規模な湖成・湿地由来の堆積物であり、PETMの開始期から存在していたため、当時の湿地型の生態系が示した生物地球化学的な応答を調べることができる。本論文では、コバムで得られた湿地堆積物中の微生物由来バイオマーカーである、ホパノイドの存在について報告する。ホパノイドの炭素同位体値のPETMの開始期における減少が測定され、このことから、メタン酸化細菌個体群の増加が示唆される。これは、より温暖かつ湿潤な気候への変化によって駆動されたと思われるメタン産生増大を表していると考えられる。今回のデータは、陸上生物圏からのメタン放出が増え、恐らく全球的温暖化に対する正のフィードバック機構として働いていたことを示唆している。

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