被子植物や有胎盤哺乳類でみられる遺伝的刷り込みは、DNAメチル化を用いてどちらの親由来かによって決まる遺伝子発現を実現する。DNAメチル基転移酵素3a(Dnmt3a)とその調節因子であるDNAメチル基転移酵素3様タンパク質(Dnmt3L)はどちらも、哺乳類生殖細胞における刷り込み遺伝子のde novo DNAメチル化に必要である。Dnmt3Lは、アミノ末端のPHD(植物ホメオドメイン)様ドメインによって、ヒストンH3のメチル化されていないリシン4と特異的に相互作用する。今回我々は、結晶解析を用いて、ヒトDnmt3Lのカルボキシ末端ドメインがDnmt3aの触媒ドメインと相互作用することを示し、Dnmt3Lはメチル化されていないヒストン尾部と結合するとともに、DNAメチル基転移酵素を活性化するという二重の機能をもつことを明らかにする。Dnmt3aとDnmt3LのC末端ドメインは複合体化しており、さらに、Dnmt3a-Dnmt3a相互作用によって二量化して2つの活性部位をもつ四量体を形成していた。Dnmt3a-Dnmt3L界面またはDnmt3a-Dnmt3a界面の主な非触媒性残基を置換すると、酵素活性が失われた。DNA-Dnmt3a二量体の分子モデリングから、2つの活性部位はDNAらせんのほぼ1巻き分離れていることが示された。Dnmt3aのC末端ドメインは、DNA上でオリゴマー化して核タンパク質フィラメントを形成する。長いDNA上でのDnmt3a活性の周期性から、メチル化されたCpG部位が8〜10塩基対の距離間隔で存在することが明らかとなった。このことは、オリゴマー化により、Dnmt3aがDNAを周期的にメチル化するようになったことを示す。同様の周期性は、マウスの12個の母親由来刷り込み遺伝子のDMR(differentially methylated region、両親のどちらに由来するかでメチル化の状態が異なる領域)におけるCpG部位の頻度についても観察される。これらの結果は、ヌクレオソーム修飾とCpG間隔の両方の検出がかかわる、刷り込み遺伝子のDMR認識とメチル化の基盤を示唆している。