Letter 生態:地中海性乾燥生態系における空間植生パターンと切迫した砂漠化 2007年9月13日 Nature 449, 7159 doi: 10.1038/nature06111 人類と気候は生態系とその公益的機能(生態系サービス)に影響を及ぼしており、そこには、ある安定状態から別の安定状態への連続的および不連続的な移行が含まれる可能性がある。不連続的移行は不可逆的に突然起こり、知られている生態系変化の中で最も壊滅的なものの1つである。陸上生態系については、植生のパッチ性(patchiness、分布パターンの斑状状態)が、切迫した移行の前兆として用いることができるという仮説が提出されている。今回我々は、放牧圧の異なる複数の乾燥生態系において、野外調査データとモデリングとを併用して、植生パッチ性がどのように変化するかを分析した。モデリングでは、分析結果をさらに高放牧圧の場合にまで外挿して、砂漠化の危機が迫ったときの植生パッチ性について調べた。スペイン、ギリシャ、モロッコの3カ所の地中海性乾燥生態系において、植生のパッチサイズ分布がべき乗則に従うことが見いだされた。確率的セルオートマトン・モデルを用いることにより、植物どうしの局所的な正の相互作用によって、このようなべき乗分布が説明できることが明らかになった。また、野外調査データでは一貫して、放牧圧が高くなるのに伴ってべき乗則からの逸脱が認められた。モデルにおいても、放牧圧を高めると同様の逸脱が起こった。モデルで放牧をさらに増やすと、砂漠への移行の直前にだけ、しかも必ずこういった逸脱が起こることがわかり、これは移行の種類や植被率とは無関係だった。したがって、パッチサイズ分布は砂漠化の始まりを示す警告シグナルになる可能性があると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る