Letter

物理:ポジトロニウム分子の生成

Nature 449, 7159 doi: 10.1038/nature06094

電子とその反粒子である陽電子が一緒になると、水素に似た準安定原子を作ることはずっと以前から知られており、ポジトロニウム(Ps)と呼ばれる。1946年にウィーラーは、2つのPs原子が結合して、束縛エネルギーが0.4 eVのポジトロニウム分子Ps2を作るだろうと推測した。さらに近年になって、この分子の理論的研究が行われたが、Psの寿命は短く、低エネルギーの陽電子を大量に得ることが困難であったため、これまでのところPs2は明確に観測されたことはない。本論文では、陽電子の強力なバーストを多孔質シリカ薄膜に注入すると、Ps2が孔の内部表面で生成されることを示す。競合過程であるスピン交換消失より、ずっと効率的に分子が生成されることがわかったが、狭い孔の中では消滅は抑制されると思われる。この結果はPs2分子の存在の実験的確認であり、また、多ポジトロニウム系の研究への道を開くものである。一層強力な陽電子源で同様な技法を用いれば、数千の原子が相互作用し、相転移を起こしてボーズ・アインシュタイン凝縮体を生成できるところまで、Ps密度を増加させることができると予想される。この系は、全くレプトン的で巨視的な物質-反物質の量子系として、それ自体興味深いが、対消滅ガンマ線レーザーの実現に向けた重要な一歩にもなるだろう。

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