Letter 物理:2次原子トンネリングの直接観測 2007年8月30日 Nature 448, 7157 doi: 10.1038/nature06112 古典的には通過できない障壁を通る物質粒子のトンネリングは、量子物理学の特徴を示す効果の1つである。粒子間の相互作用がトンネル接合中の粒子の移動度と競合すると、粒子は独立にはトンネルしないため、興味深い動的な挙動が現れる。例えば、単一電子トランジスターあるいはブロッホトランジスターでは、1個の電子あるいはクーパー対は、第2の電荷キャリアが存在するとクーロンブロッケードにより、トンネリングが可能になるか、あるいは抑制されるかのいずれかになる。本論文では、2重井戸型ポテンシャル障壁を通る2個の相互作用する極低温原子の相関のあるトンネリングを直接、時間分解して観測した結果を報告する。原子間相互作用が弱く、トンネル結合が支配的な領域では、各原子は通常のジョセフソン接合の場合と同じように独立にトンネルできる。しかし、強い斥力相互作用が存在すると、障壁の片側に存在する2個の原子は離れることができず、2次の同時トンネリング過程で対として一緒にトンネルするのが観測される。原子の位置と位相コヒーレンスの両方を時間の関数として記録して、単一原子のトンネリング過程、および1対の原子の相関したダイナミクスを、弱い相互作用と強い相互作用でそれぞれ完全に評価した。また、第2の粒子が存在するときのみ1個の原子がトンネル可能となるという、単一原子スイッチとして作用するような条件付きトンネリング領域も見いだした。このような2次トンネリング事象は、強く相互作用する領域で支配的になる動的な効果であり、極低温原子では今まで観測されていない。同様の2次過程は、周期ポテンシャルの隣り合う格子サイトで原子間に生じる超交換相互作用の基礎となる。この相互作用は、量子磁性を実現するいくつかの提案の中心的な要素である。 Full Text PDF 目次へ戻る