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細胞:MgtE Mg2+トランスポーターの結晶構造

Nature 448, 7157 doi: 10.1038/nature06093

マグネシウムイオン(Mg2+)は、多くの生理学的過程にかかわる重要なイオンである。Mg2+はすべてのカチオンのうちで最大の水和半径をもつ一方、イオン半径は最小である。完全に水和した大きなMg2+イオンを、Mg2+トランスポーターが選択的に認識し、水和水をはぎ取って輸送する仕組みは未解明である。最近、CorA Mg2+トランスポーターの結晶構造が報告された。Mg2+トランスポーターのMgtEファミリーは、すべての生物種に普遍的に分布している。ヒトのホモログは機能解析がされており、マグネシウムの恒常性維持にかかわっていることが示唆されている。しかし、MgtEトランスポーターの機能はまだ完全には解明されていない。今回我々は、高度好熱菌Thermus thermophilus由来の全長MgtEの結晶構造を、3.5Å分解能で決定した。さらに、Mg2+が存在するときとしないときの細胞質ゾルドメインの結晶構造を、それぞれ2.3Åと3.9Å分解能で決定した。このトランスポーターはホモ2量体構造をとっており、カルボキシ末端の5つの膜貫通ドメインと、アミノ末端の細胞質ゾルドメインとからなる。後者は、超へリックス構造のNドメインと、タンデム型繰り返し構造をもつシスタチオニン-β-シンターゼドメインをもつ。溶媒が近づける孔は、膜貫通ドメインをほぼ横断しており、孔内にあって保存されているAsp 432に1個のMg2+が結合すると考えられる。両サブユニットに由来する膜貫通(TM)ヘリックス5は、シスタチオニン-β-シンターゼドメインと膜貫通ドメインをつなぐ「連結へリックス」との相互作用によって孔をふさいでいる。連結へリックスと他のドメインの間の界面には、4個のMg2+が結合していると推測され、これにより孔をふさぐコンホメーションが固定されていると考えられる。細胞質ゾルドメインの2つの状態の構造比較から、Mg2+に依存した連結へリックスの動きが示され、この動きが膜貫通へリックスを再構成させ孔を開かせると考えられる。これらの知見から、細胞質ドメインの間に結合したMg2+が細胞内Mg2+濃度を感知して、Mg2+の膜輸送を調節しているという恒常性維持機構が示唆される。ここで推定された調節機構が、イオンチャネルのゲート開閉、あるいは2次的な活性トランスポーターの開孔を制御しているかどうかは、今後の研究課題である。

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