Letter 細胞:ATMとATRのTRF2とPOT1による独立した制御を介したテロメアの保護 2007年8月30日 Nature 448, 7157 doi: 10.1038/nature06065 テロメアが、複製によるテロメアDNAの短縮やシェルタリン(shelterin)の阻害によって正常に機能しなくなると、細胞ではATM(ataxia telangiectasia mutated)キナーゼシグナル伝達の特徴がみられるようになる。また、テロメアの機能不全によって、ATR(ataxia telangiectasia and Rad3-related)キナーゼシグナル伝達などのATMとは無関係な伝達経路も誘導される可能性がある。これは、老化細胞でATRの標的であるCHK1がリン酸化されることや、ATM欠失細胞がテロメア機能不全に対する応答をみせることから示唆される。しかし、テロメアの短縮には2次的なDNA損傷が伴うため、損傷されたテロメアを検出する、ATMに依存しない経路があるかどうかは不明である。今回我々は、損傷を受けた哺乳類テロメアがATMとATRの両方を活性化することを明らかにし、シェルタリン複合体がこの2つの重要なDNA損傷シグナル伝達経路を抑制する仕組みを解明する。ATMキナーゼシグナル伝達とATRシグナル伝達の一方または両方を欠く細胞で、シェルタリンタンパク質であるTRF2(telomeric repeat binding factor 2)とPOT1(protection of telomeres 1)を一方、または両方とも欠乏させ、テロメア損傷応答を観察した。データから、TRF2とPOT1はそれぞれ独立に働いて、これら2つのDNA損傷応答経路を抑制していることが示された。TRF2はATMを抑制し、POT1はATRの活性化を妨げる。意外なことに、機能しなくなったテロメアの効率よい非相同的末端連結には、ATMまたはATRシグナル伝達のどちらかが必要なことがわかった。これらの結果から、哺乳類のテロメアが複数の機構を使ってDNA損傷監視を避けている仕組みが明らかになり、短縮したテロメアが、どのように複製老化とゲノム不安定性を引き起こすかが説明できる。 Full Text PDF 目次へ戻る