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医学:Tip60は、癌遺伝子が誘発するDNA損傷修復に必要なハプロ不全腫瘍抑制因子である

Nature 448, 7157 doi: 10.1038/nature06055

アセチルトランスフェラーゼTip60は、いくつかの様式で腫瘍発生に影響を与えている可能性がある。第一に、Tip60は転写因子のコレギュレーターとして、Mycやp53と同じく、腫瘍発生の促進にも抑制にも働く。第二に、Tip60はDNA損傷応答(DDR)のシグナル伝達を調節し、癌遺伝子によって誘発されたDDRを介して腫瘍の進行を防いでいる可能性がある。Tip60遺伝子(Htatip)ノックアウト対立遺伝子のヘテロ接合体であるE µ-mycトランスジェニックマウス(以下Tip60+/−マウスと呼ぶ)を用い、我々はTip60が、腫瘍の前段階または初期段階に限定された期間内に、Myc に誘導されるリンパ腫形成を、ハプロ不全により妨げることを示す。B細胞では、Tip60のヘテロ接合によって、Mycに誘発されるDDRは顕著に損なわれたが、一般的なDDR異常は起きなかった。Mycおよびp53依存性の転写は影響を受けず、Mycに誘発される細胞増殖、ARF-p53腫瘍抑制経路の活性化、あるいはその結果生じるアポトーシス反応も影響を受けなかった。我々は、ヒトTIP60遺伝子(HTATIP)が、ヒトのリンパ腫、頭頸部癌および乳癌において、単一対立遺伝子欠損の標的になりやすく、mRNA濃度も低下することを見いだした。免疫組織学的解析でも、乳癌で核のTIP60染色がみられないことが明らかになった。これらの現象は、腫瘍の進行度と相関があり、高い頻度でp53の変異を伴っていた。したがって、Tip60は、マウスでもヒトでもハプロ不全腫瘍抑制因子活性をもっており、これはARF-p53経路内でのTip60の役割とは独立であるが、相反するものではない。我々は、この理由を、初期腫瘍細胞で癌遺伝子に誘発されてDDRが起こるのに、Tip60の臨界的濃度が必要であるからだと考える。DDRが起こらなかった場合、p53の変異と相乗作用して腫瘍の進行を促すのかもしれない。

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