Letter 気候:二酸化炭素の増加に対する植物の応答に起因する大陸の河川流出量の増加予測 2007年8月30日 Nature 448, 7157 doi: 10.1038/nature06045 二酸化炭素濃度の上昇は、放射強制を介して気候条件に直接影響を及ぼすことに加えて、植物の生理学的性質に与える影響を介して気候システムを動かす。植物の気孔は、二酸化炭素濃度が上昇した条件下では通常はあまり大きく開かず、そのため、蒸散量が減って陸表面により多くの水が残る。我々が「生理的強制」と命名した、気候システムにおけるこの変化駆動因子は、大陸の平均河川流出量の増加を示す観測記録で20世紀を通して検出されている。本論文では、植生要素を組み込んだ全球気候モデルを用いたアンサンブル実験を行い、将来の降水量変化に不確定要因があるという前提のもとに、生理的強制が大陸河川流出量の将来変化に与える寄与を見積もった。二酸化炭素濃度の倍増が植物の蒸散量に及ぼす生理的影響によって、全球の平均河川流出量のシミュレーション結果は、産業革命以前と比較して6パーセント増加することが見いだされた。この増加量は、放射強制に起因する気候変化に応じて起こる増加量のシミュレーション結果(11±6パーセント)に匹敵する。したがって、二酸化炭素濃度の上昇が水循環サイクルに与える影響を、放射強制のみを考慮して評価するのでは、将来の河川流出量増加を過小評価し、減少を過大評価する方向に進む傾向が生じるだろう。このことから、将来の地球温暖化のシナリオにおいて干ばつの危険性は依然として増大するものの、淡水資源は以前に仮定されていたほど制限されることはない可能性が示唆される。さらに、今回の結果から、すべての温室効果ガスの気候強制力を、二酸化炭素に対する相対的な放射強制力という観点から評価したのでは、さまざまな温室効果ガスが淡水資源に及ぼす相対的な影響を正確には表せないことがはっきりした。 Full Text PDF 目次へ戻る