Letter 進化:エチオピアから出土した中新世後期の新種の大型類人猿化石 2007年8月23日 Nature 448, 7156 doi: 10.1038/nature06113 アルディピテクス属(Ardipithecus)やオロリン属(Orrorin)、サヘラントロプス属(Sahelanthropus)の発見によって、鮮新世のアウストラロピテクス属(Australopithecus)が出現する以前のヒト科進化に関する知識が大幅に増え、ヒト科の化石記録は少なくとも600万年前までさかのぼった。しかしながら、サハラ以南のアフリカにおける1,200万〜700万年前の時期のヒト上科化石がわずかしか存在しないため、アフリカ類人猿系統とヒト科系統が分岐した実際の時期や様式については何もわかっていない。ゲノムに基づく研究の多くは、ヒトとチンパンジーの分岐が600万〜500万年前、ヒトとゴリラの分岐が800万〜600万年前という、新しい分岐年代を支持しており、古生物学解析や分子解析の一部からは、アフリカ類人猿とヒト科のクレードがユーラシア起源だとする仮説が導かれている。今回我々は、アファール地溝帯の南端にあるチョローラ累層の1,050万〜1,000万年前の堆積物から、新種の大型類人猿であるChororapithecus abyssinicusの化石を発見し確認したことを報告する。我々の知るかぎり、これらは、ケニヤ以北のアフリカ大陸で見つかったものとしては最初の中新世大型類人猿化石である。この類人猿は、剪断のための特徴的な稜線と機能側咬頭の厚いエナメル質とを併せもった、ゴリラ大の歯を備えている。それらのエナメル象牙境をマイクロCTで可視化したところ、剪断のための稜線特徴が一部、現生ゴリラの状態に類似していることが明らかになった。これらの特徴は、遺伝的基盤をもった構造変化の表れであり、比較的繊維質の食性に対する萌芽的な適応進化と思われる。しかし、咬頭部の比較的平坦なエナメル象牙境と厚いエナメル質は、固いもしくは研磨効果の食物、あるいはその両方の性質をもつ食物へ同時に適応進化したことを示唆している。こうした証拠の総体から、Chororapithecusはゴリラ・クレードの原始的な一員であった可能性が示唆され、さらには、およそ1,100万〜1,000万年前のゴリラ・クレードには適応的および系統的に若干の多様性のあったことが考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る