Letter 植物:植物のストレスシグナル伝達とエネルギーシグナル伝達で働く、中心的な転写ネットワーク統合因子 2007年8月23日 Nature 448, 7156 doi: 10.1038/nature06069 光合成植物は、太陽エネルギーの主要な変換装置として働き、地球上の生命を維持している。毎日の明暗サイクルの中で、植物が暗黒を感知して適応する仕組みや、光合成と呼吸を低下させてエネルギー供給を滞らせる予想外の環境ストレスに適応する仕組みは非常に重要であるにもかかわらず、ほとんど解明されていない。現在のモデルは、さまざまなストレスの感知とシグナル伝達機構に重点が置かれている。今回我々は、細胞レベルのスクリーニングと系統的スクリーニングとを組み合わせて用いることにより、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の進化上保存されているプロテインキナーゼKIN10とKIN11(別名はそれぞれ、AKIN10/At3g01090、AKIN11/At3g29160)が、暗黒、糖、ストレスという一見無関係な条件に応答して転写の収束的再プログラミングを制御していることを明らかにする。糖やエネルギーの欠乏感知とシグナル伝達に際して、KIN10は著しく幅広い遺伝子を標的としており、これらが転写ネットワークを協調させ、異化を促進し、同化を抑制する。特異的なbZIP転写因子が、部分的にKIN10の一次シグナル伝達を仲介する。遺伝子導入によるKIN10の過剰発現により、飢餓耐性が高まり、寿命が伸び、構造と成長過程が変化する。特に重要なのは、kin10 kin11の二重欠失により暗黒やストレスに関するシグナル伝達における転写スイッチが働かなくなり、夜間のデンプン動員や成長がうまく行われなくなることである。これらの知見から、ストレス、糖、成長シグナルを結びつけて植物の代謝とエネルギーバランス、成長、生存を総合的に調節する上で、KIN10/11が予想外の重要な役割を果たしていることが明らかになる。植物のSnRK1(Snf1関連プロテインキナーゼ)はショ糖によって活性化されると広く考えられているが、我々が行ったシロイヌナズナKIN10/11の機能解析で得られた確固たる証拠によれば、SnRK1は糖により不活性化され、オーソログである酵母Snf1や哺乳類AMPKと同じくエネルギーシグナル伝達において中心的役割を果たしている。 Full Text PDF 目次へ戻る