Letter

海洋:大西洋中央海嶺の頂上で起こる水温躍層下部水の激しい混合

Nature 448, 7154 doi: 10.1038/nature06043

海洋深層と上層の間の浮力交換は全球的な海洋循環の維持に欠かせないが、主に乱流混合によって生じている。この混合は、主として海洋内部波場の不安定性に起因していると考えられている。しかし、内部波はエネルギーを乱流として局所的に散逸するのでなく、内部波が生成される水域からエネルギーを外側へ放射する傾向があり、その結果として生じる乱流混合の分布はまだわかっていない。もう1つのより直接的な混合メカニズムには、海底地形中の狭い水路を強い流れが通過する際に生じる乱流がかかわっているが、そのような場所で生じる乱流の量は、直接測定が不足しているためほとんど定量化できていない。本論文では、北大西洋亜熱帯域にある北大西洋中央海嶺の頂上で得られた観測結果を示す。この結果は、中軸谷と海嶺側面の海底谷中の水路が、最も強力に海洋乱流を生成する場所となっていることを示唆している。今回の測定値は、0.03 m2 s−1という大きな拡散率がよく成層した境界層における海閾下流での混合の特徴であることを示し、混合レベルは主な水温躍層の底部で10−4 m2 s−1のオーダーを維持している。これらの混合速度は、全球の水温躍層と深海の多くの特徴である10−5 m2 s−1オーダーの拡散率よりかなり高い。今回の推定値は、北大西洋の大西洋中央海嶺上の狭い水路で生じる越流が産み出す浮力フラックスが、大西洋中央海嶺の大きな海峡で南北大西洋の海盆を結びつけているロマンシュ断裂帯全体についてこれまでに推定されてきた浮力フラックスと同程度であることを示唆している。このフラックスは、北大西洋の海盆全体においてこれらの水路の深さで生じている内部混合に相当し、海洋中央海嶺上の狭い水路で生じた乱流が、全球スケールでの浮力フラックスにとって重要である可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度