Letter 物理:量子フェロ流体における強い双極子効果 2007年8月9日 Nature 448, 7154 doi: 10.1038/nature06036 対称性を破る相互作用は、古典フェロ流体から超流動3Heやd波超伝導に及ぶ物理学の多数の分野で重要な役割を果たしている。超流動量子気体では、電気、あるいは磁気双極子間の対称性を破る相互作用からさまざまな新しい物理現象が起こると予測される。双極子ボソンでは、チェッカーボード相や超固体相など、光格子に新しい量子相が生じると予測されている。双極子相互作用によって、内部自由度がある量子気体の物理学的性質も格段に多彩になる。さらに、双極子粒子の配列は効率よい量子情報処理にも使えるだろう。本論文では、強い双極子相互作用をもつクロムのボーズ・アインシュタイン凝縮体の実現について報告する。フェッシュバック共鳴を用いて、通常の異方的な接触相互作用を、52Cr原子間の異方的な磁気双極子-双極子相互作用の強度とほぼ等しくなるまで、弱くする。これによって、原子雲のアスペクト比が変化するようになる。強い双極子相互作用の場合、膨張しているとき、楕円率の反転(一般的にボーズ・アインシュタイン凝縮体の「決定的」証拠となる)が抑制できる。これらの効果は、この気体の動態を支配する超流動流体力学方程式に双極子相互作用を取り入れれば、古典フェロ流体が古典流体力学方程式に双極子項を入れて記述できるのと同じやり方で説明できる。我々の結果は、量子フェロ流体の特異な性質の研究に向けた第一歩になる。 Full Text PDF 目次へ戻る