Letter 生態:熱帯林と温帯林に生息する鱗翅目の宿主特異性 2007年8月9日 Nature 448, 7154 doi: 10.1038/nature05884 多くの生物分類群において、種の豊富さは温帯域よりも熱帯域の方がずっと高い。群集生態学と進化生物地理学の主要な課題は、これらの差異をもたらす機構を明らかにすることである。植食性昆虫では、ある地域内の種数を増加させるこうした機構の1つが、生態的特異化の高まりであると考えられ、それにより1つの群集内の狭いニッチを占める昆虫種の割合が増加する可能性がある。我々は、南緯15度から北緯55度の間にある8カ所の新世界森林で、鱗翅目(ガやチョウ)の幼虫にみられる宿主特異化を比較することにより、この仮説を検証した。今回我々は、熱帯域の鱗翅目幼虫の食餌は温帯域の鱗翅目幼虫よりも特異化していることを示す。すなわち熱帯種は、平均して温帯種よりも少ない種数・属数・科数の植物を食餌としている。この結果は、鱗翅目の1つの科あたり、あるいは1つの幼虫集団全体のいずれで計算しても当てはまる。結果として、熱帯動物相では温帯動物相に比べて、樹種間での鱗翅目幼虫種の構成の差異が大きい(ベータ多様性が高い)。我々は、熱帯動物相での高い特異化は栄養相互作用の違いの結果であると考える。例えば、熱帯林では温帯林に比べて、天敵群集から受ける選択圧がより多様で長期にわたるのに加えて、ある樹種と隣にある樹種の二次的化学物質のプロファイルの差異がより大きい。 Full Text PDF 目次へ戻る