Letter

進化:相互擬態種は防御能に差がある場合にも相利的関係にある

Nature 448, 7149 doi: 10.1038/nature05899

自然選択の明確な数理的取り扱いを初めて行ったミュラーは、捕食者に対する防御能をもつ複数の被食種間が警告信号を共有すること(擬態)で、捕食者の学習期間中に被る1個体当たりの死亡率が分配され、被食種が利益を得るだろうと提案した。擬態は適応論的思考の中心となるものだが、捕食者に対する防御能に差がある相互擬態種間に、相利的あるいは寄生的な関係が存在するかどうかについては、繰り返し議論がなされてきた。本論文では、防御能に差のある種間の関係は相利的であることを示す。我々は、野生捕食者(シジュウカラ、Parus major)に「新天地」内で人工餌を捕食させることでこれを検証した。高い防御能をもつ餌(「モデル」)の数を一定に保ち、このモデルに対する擬態が完璧な場合、あるいは不完全な場合について、中程度の防御能をもつ餌(「防御能をもつ擬態者」)の密度を増加させた。モデルと防御能をもつ擬態者の両方が、1個体当たりの死亡率が密度に依存して低下することにより正味の利益を得た。密度を通じた希釈効果を制御した場合でも、防御能をもつ擬態者はモデルへの攻撃増加を引き起こさなかったが、信号の正確な擬態に向かう選択がかかっていることがわかった。比較として、十分に食べられる擬態者(=防御能をもたない擬態者、ベーツ擬態者)を加えると、モデルへの攻撃は増加したが、希釈が起こった結果、1個体当たりの死亡率は、全体としては増加しなかった。現在の理論は、密度効果を無視することで、防御能の低い擬態者が防御能の高いモデルに負わせる寄生コストを過大評価している可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度