Letter 医学:マクロファージ特異的なPPARγは選択的活性化を制御してインスリン抵抗性を向上させる 2007年6月28日 Nature 447, 7148 doi: 10.1038/nature05894 肥満およびインスリン抵抗性は、代謝症候群の主要な特徴であり、軽度の炎症状態と緊密に関連する。脂肪組織では、慢性的な栄養過多によりマクロファージ浸潤が起こり、それが局所炎症につながってインスリン抵抗性を強める。例えば、遺伝子導入によってMcp1(Ccl2 [chemokine ligand 2] とも呼ばれる)を脂肪組織に発現させると、マクロファージ浸潤、炎症およびインスリン抵抗性が亢進する。逆に、Mcp1またはその受容体Ccr2を破壊すると、脂肪組織へのマクロファージの移動が阻害され、脂肪組織炎症が軽減し、インスリン感受性が改善される。これらの知見を総合すると、脂肪組織中のマクロファージ量とインスリン抵抗性との間に関連がみられることが示唆される。しかし、組織に常在するマクロファージは、活性や機能が著しく不均一であり、それは主に局所的な代謝および免疫微小環境を反映している。Mcp1は炎症性の古典的経路により活性化されるマクロファージの組織損傷部位への動員を誘導するが、やせたマウスの脂肪組織中にあるような常在型マクロファージは、選択的に活性化される表現型を示す。選択的活性化マクロファージは、高い組織修復能力をもつが、肥満によって誘発されるインスリン抵抗性におけるそうしたマクロファージの役割の詳細は明らかにされていない。本論文では、マクロファージ特異的にペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)を欠損するマウスを用い、選択的に活性化されるマクロファージの成熟にはPPARγが必要であることを示す。骨髄細胞でPPARγを破壊すると、マクロファージの選択的活性化が阻害され、このようなマウスでは食餌が誘発する肥満、インスリン抵抗性およびグルコース不耐性が起こりやすくなる。さらに、遺伝子発現プロファイリングにより、骨格筋と肝臓における酸化的リン酸化関連遺伝子の発現低下がこれらの組織でインシュリン感受性低下を引き起こすことが明らかになった。これらを総合すると、常在型の選択的活性化マクロファージは、栄養素恒常性の調節で有益な役割を果たしており、マクロファージの選択的状態への極性化が2型糖尿病治療の有用な戦略となる可能性が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る