Letter 物理:シリコンにおけるスピン輸送の電気的測定および制御 2007年5月17日 Nature 447, 7142 doi: 10.1038/nature05803 電子スピンの寿命と拡散長は、スピントロニクスのデバイスや回路のコヒーレンススケールを決める輸送パラメーターになる。これらのパラメーターは金属より半導体の方が多数桁大きいため、半導体はスピントロニクスに最も適した材料になる。スピン輸送の測定は、これまでのところ直接遷移型バンドギャップ半導体や磁性半導体との組み合わせに限られており、多数存在する間接遷移型バンドギャップ非磁性半導体に対してはなされていない。間接遷移型バンドギャップ非磁性半導体の代表例はシリコン(Si)である。シリコンはエレクトロニクス市場に定着しており、小さなスピン‐軌道散乱と格子反転対称性のため寿命と輸送長が長く、スピントロニクス用半導体の有力候補と考えられてきた。このような有望性にもかかわらず、Siにおけるコヒーレントスピン輸送の実証は、その大部分の実験が磁気抵抗デバイスで行われているため、明確な結果が得られていなかった。実際、この方法は強磁性金属と半導体の原理的なインピーダンス不整合のためうまくいかず、測定結果は他の電気磁気効果によって不明瞭になる。本論文では、10 µm厚の非ドープSiを介して伝導帯でのスピン輸送が起こることを実証した。用いたデバイスは、スピン注入とスピン検出のための強磁性薄膜を介して、バリスティック走行するホットエレクトロンをそのスピンによってフィルタリングすることにより作動する。これは磁気抵抗を利用していないため、ホットエレクトロンのスピン注入とスピン検出はインピーダンス不整合の問題を避けることができ、また、寄生効果によって生じる干渉を防げる。きれいなコレクター電流が得られたことから、スピン歳差の磁気制御と電気制御を独立にできることがわかり、したがって、シリコン伝導帯におけるスピンコヒーレントドリフトが確かめられた。 Full Text PDF 目次へ戻る