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発生:ゲノムインプリンティングなしでも種子の発生は可能である

Nature 447, 7142 doi: 10.1038/nature05770

哺乳類が子孫を生ずる場合には、両親に由来するゲノムがインプリントされた目印に従って差別的に発現し、片親のみが遺伝的に寄与する胚は死んでしまう。どちらの親に由来するかによって遺伝子発現パターンが変化する現象は被子植物の子孫にも認められ、インプリンティング装置に変異が生じると、主として内乳の発生が影響を受け、胚は死に至る。内乳とは、種子内にあって胚に栄養を与える構造体であり、哺乳類の胎盤に似た機能をもっている。今回我々は、母親のみに由来する内乳をもつシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の種子を作出した。そして、発生する種子中のインプリンティングは無視可能であり、内乳に父親の寄与がない種子から生ずる実生は通常より小型ではあるが生長能をもつことを実証する。インプリンティングの無視が可能となるのは、Polycomb群のクロマチン修飾因子をコードするFISクラス遺伝子のどれか1つが変異した母親をもつ場合に限られる。したがって、今回のデータからは、FIS複合体の作用が父親ゲノムの寄与を相殺することを示す機能的証拠が得られた。被子植物は雌性配偶子2個と雄性配偶子2個が並行して融合するという特殊な生殖系を進化させており、今回の知見は、重複受精の進化だけに限ってFIS遺伝子の作用が種子発生の必要条件になったとする説を裏付けている。また、今回のデータは被子植物の内乳が配偶体起源であることを証拠立てており、1900年にEduard Strasburgerが立てた説を支持するものである。

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