Letter 医学:ピロリ菌CagAはPAR1/MARKキナーゼを標的として上皮細胞の極性を破壊する 2007年5月17日 Nature 447, 7142 doi: 10.1038/nature05765 ピロリ菌Helicobacter pylori cagA陽性株は、胃炎、潰瘍、および胃腺癌と密接に関連する。CagAは胃上皮細胞内に送り込まれてチロシンリン酸化を受けた後、 SHP2癌タンパク質と特異的に結合しそれを活性化することにより、hummingbird表現型として知られる伸長した細胞形態変化を誘導する。さらに、極性化した上皮細胞において、CagAは密着結合の破壊と、頂端部-基底部軸に沿った細胞極性の喪失をもたらす。我々は本論文で、ピロリ菌CagAが、上皮細胞極性に必須の役割を担うPAR1/MARKキナーゼと特異的に相互作用することを示す。CagAとの結合はPAR1のキナーゼ活性を阻害するとともに、細胞膜からのPAR1の解離を促す非典型的プロテインキナーゼC(aPKC)依存的なPAR1のリン酸化を阻止し、細胞間結合を破壊し、細胞極性を喪失させる。また、PAR1自らが多量体化する性質により、PAR1はCagA-SHP2相互作用を安定化するCagAの多量体化も促進する。さらに、CagA-SHP2相互作用による hummingbird表現型の誘導には、CagAによるPAR1キナーゼの同時並行的な阻害が必要である。よって、CagA-PAR1相互作用は、細胞間結合および細胞極性の異常を誘発するだけでなく、CagAによる細胞形態変化の誘導にもかかわることになる。我々の知見は、粘膜損傷・炎症および癌化の原因となる胃上皮構造の破壊において、PAR1がピロリ菌CagAの重要な標的であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る