Article 生化学:TIR1ユビキチンリガーゼによるオーキシンの認識機構 2007年4月5日 Nature 446, 7136 doi: 10.1038/nature05731 オーキシンは、植物の成長および発生の多くの面を制御する重要な植物ホルモンである。オーキシンはTIR1(transport inhibitor response 1)などの少数からなるF-boxタンパク質ファミリーによって認識され、Aux/IAA転写抑制因子のSCFユビキチンリガーゼが触媒する分解を促進することにより、遺伝子発現を制御するが、TIR1というF-boxタンパク質がオーキシンを認識して活性化される機構についてはまだわかっていない。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)のTIR1-ASK1複合体の遊離型、および3種類のオーキシン化合物あるいはAux/IAA基質ペプチドと結合した状態の結晶構造について報告する。これらの構造から、TIR1のロイシンリッチリピート・ドメインには予想外の補因子であるイノシトールヘキサキスリン酸が含まれていること、また、オーキシンやAux/IAAポリペプチド基質は分子表面にある1カ所のポケットによって認識されることが明らかになった。オーキシンはTIR1のポケットの基部に繋留されており、特異性がある程度低い部位に結合しているので、多様なオーキシン類似体がこの部位に結合可能となる。Aux/IAA基質ペプチドは、オーキシンの先端部分に結合してTIR1ポケットの残りの部分を占めており、ホルモン結合部位を完全にふさいでいる。オーキシンは、タンパク質の境界面にある疎水性の空洞を埋めることで「分子の接着剤」として働き、TIR1と基質の相互作用を促進する。以上の結果は、植物ホルモン受容体の構造モデルを初めて確立するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る