Letter 物理:強相関固体中の原子価の揺動とδ-プルトニウムの特異な性質 2007年3月29日 Nature 446, 7135 doi: 10.1038/nature05647 後周期アクチニド(プルトニウム、アメリシウム、キュリウム)の核の性質は完全にわかっており、エネルギー発生に広く応用されているにもかかわらず、その固体の性質は標準模型の範囲に適合せず、活発な研究が行われている。プルトニウムは、容積が大きく異なる複数の相を示し、パウリ型の磁化率と抵抗率は、共に単純金属より1桁大きい。キュリウムもまた高い抵抗率をもつが、磁化率は高温ではキュリー型であり低温では反強磁性的秩序を現わす。後周期アクチニドの異例な性質は、そのf殻電子の遍歴と局在の間の競合に由来するもので、それによりこれらの元素は強相関物質になっている。この分野の主要問題は、このような物質で、これらの相反する傾向がどのように折り合われているのか、その機構の解明である。今回我々は、磁性、近藤遮蔽、原子多重項効果、および結晶場分裂を同じ基盤で取り扱う理論的手法を用い、原子価の概念を再検討して、後周期アクチニドの異例なふるまいを引き出す電子機構を明らかにした。プルトニウムの基底状態は、2つの異なる原子価の量子的重ね合わせであり、一方キュリウムは、低温で磁気的秩序のある単一原子価の状態に落ち着くことがわかった。キュリウムのf7配位は、プルトニウム基底状態の多重原子価と対照的であり、その特徴は原子価ヒストグラムで表される。近藤遮蔽と磁性とのバランスは、スピン軌道結合すなわち原子多重項の強さと遍歴程度の間の競合によって制御される。我々の方法はプルトニウムの結合特異性の電子的起源を明らかにするものであり、他の化合物についても、一般化された原子価や磁性の有無を第一原理から予測するのに応用できると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る