Letter 生態:系統分解的な群集プロテオミクスから明らかになった好酸性細菌の再組み換えゲノムの存在 2007年3月29日 Nature 446, 7135 doi: 10.1038/nature05624 微生物は現存する生物の大部分を占めているが、微生物の多様化の性質やその推進力に関してはまだ未解明の部分が多い。微生物の適応と進化の仕方に関する理解は、特に自然界の群集中の共存している種を対象とする解析の場合、遺伝子交換のパターンを全ゲノム規模で明らかにすることで進展可能と考えられる。本研究では、群集のゲノムデータセットを用い、ゲノムが解析されていない天然の好酸性バイオフィルムにおける優占種の発現タンパク質を、系統特異性と共に同定した。プロテオミクスの結果から、近縁の2細菌集団に由来する数万〜数十万塩基長の染色体領域がかかわる組み換えにより作られた1つのゲノムの存在が明らかになった。集団間での遺伝子の交換は、分離株と未培養の天然細菌群集でMLST法(multilocus sequence typing)を使って確認された。これらの知見は、変異遺伝子の大きなまとまりの交換が、金属に富む極めて酸性度の高い環境の特殊な生態ニッチに適応するために重要であることを示唆している。共存する近縁生物種の挙動は、質量分析法を使ってわずか1アミノ酸しか違わない発現タンパク質産物を弁別することで区別できる。単一種としてくくられていた複数の微生物が自然界の系の中ではそれぞれまったく別の役割をもっていたり、それらの相互作用が生態系の最適化に重要であったりする可能性があるので、この弁別能は重要である。プロテオミクスのデータからはゲノムのタイプと活性に関する情報が同時に得られるので、系統分解的な群集プロテオミクスは自然環境に存在する微生物の培養非依存的なゲノム解析(メタゲノム解析)を補完するものとして重要である。 Full Text PDF 目次へ戻る